玄天黄地

学生時代、箸にも棒にも掛からなかったアホの子が、やっと普通のアホになれるか?

事業仕分け別論

 ウェブ上で事業仕分けに関する議論が盛んに行われています。どちらかというと、批判的な論調が多いように思います。そのなかの「1時間で決めるのは無茶」というのは、心情的には理解できるものの、多くの人が見落としている(書き落としている)要素があるように思いましたので、遅まきながら書いてみます。
 それは、予算編成までそれほど時間がないなかで、あれ以上の時間をかけることは困難、という点です。


 通常、予算は8月末日に各省から財務省に要求案が提出され、9月から12月中旬まで財務省が査定し、12月下旬に来年度予算案が内示されます。内示後は、予算案を承認するかどうかは政治判断(国会審議)に任されます。
 さて、今年度は、その8月末に政権が変わったため、新しい政権が9月になって予算案の見直しを始めました。補正予算をまず絞り、続いて本予算にも切り込みを始めました。補正予算の絞り込みが終わったのが10月中旬。本予算への切り込みは同時平行で行っていたと思われますが、事業仕分けの対象が決まったのが11月上旬。予算案の内示に向けた財務省の内部決裁に要する時間を考えると、1ヶ月も時間がないことになります。

 事業仕分けに要する時間が、1事業あたり1時間では足りないとします。1時間が2時間になっても、それほど大きな違いは出ないでしょう。量の変化が質の変化になるには、5時間くらいは掛けなければならないのではないかと思います(数字は適当です)。すると、2週間は余計に日数を要することになります。事業仕分けの作業が半ばまで来た段階で12月になってしまいます。事業仕分けが終わった後でも、財務省はその他の事業の査定結果と合わせて、トータルの予算額を調整する作業がありますから、とてもではありませんが、年内に予算案の内示などできなくなってしまいます。こうして、今年度の事業仕分けは、1事業あたり1時間で済ませる必要があったと推定されます。

 鳩山総理は、来年度も事業仕分けを行うことを表明しました。案外、財務省が(藤井大臣が)「来年度はもっと早い時期から準備できるので、今年のようなバタバタした日程にならず、国民の批判もヒートダウンした形で、事業仕分けができる」と話しているかもしれません。財務省が総理に何か報告/説明しているかどうかはさておき、来年度はもっと余裕を持って作業が行われるかどうかは、1年待てば明らかになるでしょう。