玄天黄地

学生時代、箸にも棒にも掛からなかったアホの子が、やっと普通のアホになれるか?

今更、作用素を持つ群

浅野・永尾、「群論」、岩波全書 は学生時代の標準教科書だった。
当時の教官は、学科が推奨する教科書に関係なく、4月にいきなり有限群の表現論の話を始め、勇気ある学生が「先生、教科書のどのあたりか分かりません」と質問したときに「あ、多分第6章ね」とあっさり仰って、学生が半減期1週間で崩壊、250人は入れそうな大講義室に満員だった筈が6月には20名もいないくらいに閑散とし、前期試験の合格者は1名だけだった(あと、7人に追試が許されたはず)。アホの子の私は5月中に脱落したような気がする。

まあ、私が箸にも棒にもかからないアホだった話はこれくらいにするが、以下の記述もそういうアホの子が書いているので、内容がアホであることは容赦願いたい。

上記「群論」は、第3章で作用素を持つ群、第5章で作用素が群であるような集合を扱う。長い間両者の関係が分かっていなかった。(アホや)

重要なのは、もちろん、集合上の作用素群である。ただ、群の理解が十分ではない初学者には難しすぎる。で、

  • 任意の集合には、自己写像が定義できる
  • 自己写像写像の合成に関して結合法則を満たすならば、自己写像全体は半群をなす
  • 自己写像全体の集合は群をなすとは限らない
  • 自己写像全体の集合の中に、群をなす部分集合があるならば、その群についてのみ議論を進めることには意義がある
  • 自己同形写像全体の集合は群をなす
  • 群の自己写像全体の集合は、必ず半群をなす
  • 従って、群の自己写像全体の集合から、群をなす部分集合を見つけることは容易
  • この「自己写像全体の集合の中にある、群をなす部分集合」が作用素群である
  • 作用素群を使って、群の性質を解き明かしているのが第3章
  • 可換群の場合には、もう少し進んだ結果が得られる、と解説しているのが第4章
  • 作用素群を、群ではなく一般の集合に施す、と言っているのが第5章の第1節
  • 作用素群を持つ一般の集合」の話は広すぎるが、「広い」とは書いていない(自力で解れ、と暗に言っている ← 長らく気づけなかったアホの子)
  • 第5章は、それ以降は作用素群の話は明には登場せず、有限群の基本的な性質の話に移ってしまう
  • 作用素群を持つ一般の集合」の話は、他の教科書(例えば、位相空間の自己同相写像とか、ヒルベルト空間上のフーリエ変換とか)に、アホには分からないように登場している

 というようなことのようだ。

最近やっと、こういう理解が言語化できるようになった。

言語化できたことを以て、箸にも棒にもかからないアホから、普通のアホに昇格できたと思ってもいいかなぁ。