それでも其処に住む
中越地震における山古志村の皆さんもそうでしたが、災害発生確率が少々高いと言われても、愛着のある土地を捨てて別の場所に住むのは苦痛です。
しかし、宮城県や岩手県の海岸付近に住むのは危険です。
どうやって折り合いをつけるかですが・・・・
地下室を用意する、というのは如何でしょうか。
地上の建物は、よほど頑丈に作っても、大きな船の体当たりを受けるとひとたまりもないと思います。実際に、船の通った跡だけ被害が大きめになった地域もありました。
気仙沼を代表に、漁業で栄えている地域が多いですから、船は見える範囲に沢山あるものと想定しなければなりません。津波が来てしまうと、操船不能になりますから、みすみす地上の構造物が破壊されてしまうのを指をくわえて見ているしかない、ということになりかねません。
しかし、地下室であれば、密閉さえ十分なら、頭の上を船が通っても平気です。コンクリート製の頑丈な箱を完全に埋めてしまい、地上(住宅の1階)とは機密性が確保できるようなドアで仕切る。地上の建物が破壊されるだろうことを想定して、
- 「台所の片隅の、床下収納庫のような蓋を開ける」
- 「地上建物とは接触しない形で、地下室の入り口がある」
- 「地下室に潜ると、潜水艦のハッチのようなドアを内側から閉める」
- 「半日や1日は十分籠もっていられる」
というような設計とするわけです。
地上建物とは接触しない、ということが重要です。地上建物が津波で破壊されても、地下室へは影響を及ぼさないようにするのです。
電気は来ない(停電になる)ので、手まわしハンドル発電機つきの懐中電灯を常備しておきます。家の権利書とか実印とかが入った金庫も地下室へ持ち込むことになります。長期滞在を想定しませんので、食料は最小限度(たかだか数日分)の備蓄で十分です。
足腰の弱い高齢者が簡単に地下室に降りられるか、という問題は残ります。また、そもそも閉所恐怖症の人が利用できるのか、という問題もあります。それでも、避難場所が遠くて逃げ切れないリスクよりはマシです。閉所恐怖症の人には、平時に少しずつ訓練をして頂くようなことも必要かも知れません。
この考え方は、荒唐無稽なようですが、米国中西部では、竜巻対策用に地下室を設けている家屋が少なくない、と聞いたことがヒントになっています。地上の家屋は竜巻で完全破壊されるけど、生き残りさえすれば、また同じ場所に家を建てることができる。竜巻を津波に変えても同じことではないか、と思いました。
地下室を掘ることで、大量の土砂が出てきます。この土砂は、現地をかさ上げする目的で利用できます。
津波常襲地域の住宅建設には、地下室の設置を義務づけるよう、建築基準法を改正してしまうのが良いのかも知れません。もちろんコストは上がりますが、昭和56年に耐震基準を上げた時もコストが上がったのですから、想定災害の範囲が広がったら仕方ないことだと思います。(それでも、公的補助制度があった方が良いとは思いますが)
大船渡や気仙沼のような、大潮の満潮時に冠水してしまうような場所でも、この手法で嵩上げし、同じ場所に住むことが可能です。
どうでしょうか? 変でしょうか?
>>5/13 追記<<
港の岸壁どうなるんだ、という声もありそうです。船が衝突する可能性が最も高い構造物ですから。ただ、岸壁は普通の構造物よりもずっと頑丈に作ってあるのだろうと推測しています。他の重要構造物も、岸壁からは十分離れていますし。
また、東京アクアラインなんかは? という声もありました。あそこは波をよけるために流線型になっているんだそうですね。津波はよけられそうですが、船の衝突はどうなのでしょうか(さすがに、あの場所で衝突する船は滅多にないと思いますが)。津波がよけてくれるなら、漂流船も正面から衝突しないと考えることはできそうです。
>>5/19 追記<<
この記事に書かれているものの方がよさそうです。これなら閉所恐怖症の人でも入りやすそうですし。