玄天黄地

学生時代、箸にも棒にも掛からなかったアホの子が、やっと普通のアホになれるか?

軍人将棋考

 帰りに寄った書店で、買う予定のなかった別冊プレジデントを買った。
 軍人将棋が付録で付いていたからだった。


 小学生の頃はよく遊んだ。駒が裏返っている(情報隠匿ゲームである)ので、最初のうちはハッタリが効く。ハッタリが下手な私は戦略で勝つしかなかったが、試合途中で一度は不利になることが多かった。


 さて、ルールブックを見てみると、自分が子供の頃に遊んだルールとは多少違う。Wikipedia を見てみたが、ローカルルールと明言されている。少しだけ納得がいかない。
 子供だったが、それでも、あの頃、添付されていたルール表をかなり丁寧に読んだ記憶がある。それによれば、

  1. 飛行機は任意の場所に飛べるべき
  2. 工兵は何マスでも進めるが、途中に障害物がある場合はその先に進めない
  3. 地雷は敵を倒しても盤から取り除かれない
  4. 地雷を何処に置いても構わない
  5. 軍旗は最下段以外は何処に置いても構わない(突入口も可)
  6. 騎兵やタンクが前に2マス進めるようなことはない

 だったと思うのだった。


 飛行機が任意の場所に飛べないのであれば、飛行機の意義がない。特に、飛行機は周囲を全て駒に囲まれていても動けなければならない。敵の司令部に地雷が入っているなら、最初に飛行機を司令部に突入させるだけで試合に勝てる。こういう試合もアリだと思っている。


 敵の将官が突撃してきて、味方の地雷を踏んだとする。地雷がここで(将官を爆死させたあとで)盤から取り除かれるのであれば、工兵が存在する意義が非常に低いことになる。
 実際は、途中の経路を安い駒で塞ぐだけで、工兵による地雷の除去を免れることができる。敵の飛行機がいなくなっていれば、これで地雷は温存できる。飛行機と工兵、地雷に勝てる駒が二種類いる意義がここにある。


 地雷は突入口に置いても構わない。右は地雷原にしておいて、左から全ての将官を突入させるのも、立派な戦略である。突入口に地雷があっても、飛行機を動かすことはできる。地雷がいなくなれば、他の駒が動き出せる。


 軍旗を突入口に置き、軍旗の後ろに大将を置くのも立派な戦略である。敵の駒を動かずに倒しまくる。スパイがやってきたら倒されるが、直ちに別の駒でスパイを倒せるので、結局軍旗とスパイの交換になる。その後に大将を繰り出せば、動く駒と戦う限り(地雷でないので)必ず勝てる。


 タンクや騎兵がほかの駒と異なる動きをすれば、それだけで見破られてしまう。見破られるのは飛行機と工兵だけで十分。


 だいたい、以上のようなことをクラスメートと話しあって、ルールの解釈が決まっていたように思われる。



 あと、意外に大佐が重宝する。大佐はタンクや飛行機に負けるから、少将と能力の面で大きな差があるようだが、お互いにタンク以上の駒を動かすことが多いので、途中で敵味方のタンク以上が全て消滅することがある。こういう消耗戦においては、大佐が残っている方が勝つ。従って、序盤に簡単に大佐を倒されないよう、大佐の置き場所には気を遣う。


 などと書いていると、昔のわくわくした気持ちが蘇ってきた。明日の昼休み、職場で誰か誘ってみるかな。