標準的な一次関数
一次関数をどう説明すれば理解しやすいか、トライ。
中学校で習う一次関数は、
y=ax+b ・・・(1)
の形をしている。しかし、これはカノニカルな表現ではない。カノニカルな表現は、
y−c=a(x−d) ・・・(2)
である。このとき、もちろん、
b=c−ad ・・・(3)
という関係が成立しているものとする。ここで、(2)式において次のような変数変換
Y=y−c、X=x−d ・・・(4)
を施してみる。すると、最初の式(1)は、
Y=aX ・・・(5)
と表現できる。変数変換しただけなので、見た目は違っていても本質的には同じ式である。
YはXの関数なので、
Y=f(X) ・・・(6)
と書くこともある。
-
-
- -
-
さて。一次関数の性質だが、
f(X1+X2)=f(X1)+f(X2) ・・・(7)
これに尽きる。
足したものの関数値が、関数値を足したものになる、である。
この関係(7)は、中学校の一次方程式に限らず一次関数に広く共通して成立する性質である。逆に、この性質が成立するような集合に共通して成立するような条件を調べるのが、線形代数学なのであった。
本質は、関数を施すことと、足し算をすることの順序が交換可能であること、なのでありました。
-
-
- -
-
ところで、この関係(7)は、カノニカルな表記でないとうまくいかない。カノニカルに書くことの意義もここにある。
数学科の学生ならほぼ自明な話だとは思うが、それ以外の方には難しい話らしいので、あえて項を起こしてみた。