玄天黄地

学生時代、箸にも棒にも掛からなかったアホの子が、やっと普通のアホになれるか?

続・初心者向け Quantum GIS

 研修機関に勤務している私は、初心者に使いやすい GIS の使い方を工夫しようとしている。(本来は部下の仕事かも知れないが、直営で担当している)


 いま考えているのは、財力のない小規模の地方公共団体に対して、どれだけ低いハードルで GIS を使ってもらえるか、である。
 Quantum GIS は、ライセンスフリーであるので、特段の経費を要さずにインストールすることができるのだが、それだけでは未経験者にはハードルが高すぎる。研究者を志すような若い人には「ググれカス」で済むような話でも、日々の業務に追われつつ「いつかは GIS が使えるようになれればいいなぁ」と漠然と考えているような社会人向けだと、もっとやさしくかみ砕いて説明しないと食指を動かしてくれない。


 インストールは、最も簡単にするにはスタンドアロンに限る。専用インストーラApache その他まで入れようとすると、場合によっては仕事場のセキュリティポリシーに引っかかる。GIS を入れる、と情報セキュリティ管理者に申請している場合には、他のアプリは(たとえ有用でも)「一緒に入れるのは厳禁」だったりする。

 次にデータ。データも料金が掛かったりアクセスが大変だったりすると、超初心者は使ってくれない。昨年度の私は、いずれも自由に利用できるデータとして、章縮尺は国土地理院の「みんなの地球地図」(shape)を、中縮尺は基盤地図情報25000WMS(国土地理院の元データを、農研機構がWMS配信してくれているもの)を利用していた。これらは慣れるまでのハードルが比較的低く、また、慣れてしまえば使いやすい。
 しかし、WMS の方は、オンラインでないと使えないという制約がある。ノートパソコンに QGIS を入れて、幹部の事務室でデモを見せるといった用途には向かない。


 それで、基盤地図情報25000のベクタデータを用意してみた。これなら(もちろん)オフラインで利用できる。基盤地図情報は、JPGIS で配布されているので、そのままでは Quantum GIS では読めないが、国土地理院が公開している変換プログラム( psea )で比較的簡単に shape に変換することができる。と、ここまでは順調なようだが、やっぱり落とし穴があった。基盤地図情報25000を県別にダウンロードすると、ほとんどの場合ファイルサイズが大きすぎるのである。一例を挙げると、神奈川県で 640MBytes,岩手県だと1GBytesになる。これを全て表示させようとすると、あっという間に1分位は待たされてしまう。これでは、初心者は使う気にはならないだろう。

 実際には、表示縮尺がある程度小縮尺の場合に等高線などは表示されないように設定が可能であるが、これは超初心者はなかなか気づかない。また、どの程度の縮尺から表示させるのが良いかも難しい。香川県と北海道では、最初にプロジェクトファイルを読みこんだ時の表示縮尺が異なるし、なによりもディスプレイのサイズ(正確には、Quantum GIS の表示画素数)によって最初にプロジェクトファイルを読みこんだ時の表示縮尺が異なるのである。
 まあ、これは Quantum GIS の仕様のようだから、とりあえず諦めるが、表示させる縮尺の範囲及び地物の色や線幅などの属性については、予め既存スタイルとして xxxx.qml ファイルを用意しておく方が親切であろう。色や線幅などの属性は各県共通にできるかもしれないが、表示させる縮尺の範囲は県別に変える方がよいので、結局県別に xxxx.qml を用意するべきかも知れない。(そもそも、市町村毎に色を塗り分けるのであれば、県別に xxxx.qml を分けないと無理である)
 そうやって考えると、もとの JPGIS にはもちろん qml ファイルは含まれないので、ウチで(研修機関で)標準的な xxxx.qml を一式用意して配布する、なんてことになるのかも知れないと思ったり。



 例は、横浜市瀬谷区と旭区の境界付近)について qml を用意してみたところである。荒削りであるので、レンダリングのプロが見たらいろいろ言いたくなるかも知れない(遠慮なくおっしゃってください)。


 やるべきことが見つかって喜ぶべきなのだろうけど、根気のない私はちょっと溜息をついている。


 レベルの低い話を書いていますが、ウソではございません(笑)。