玄天黄地

学生時代、箸にも棒にも掛からなかったアホの子が、やっと普通のアホになれるか?

線図形に紐付くということ

(この記事も閉鎖 SNS のコピーです。SNS の公開設定を切り替えるのが面倒なので、こういうことをしています)
 
少し前に、「線型位置参照」について、『道路を一次元図形(局所的に一次元である多様体)としてモデル化した場合、道路近傍の地物の位置は、道路の距離程+法バンドルで指定できる』と書きました。
 
この一次元図形は、二次元図形(模式的には地表面だが、より厳密には回転楕円体面に法バンドルを使って射影して考える)に埋め込まれているものとして考えました。
 
回転楕円体面(ただし両極+日付変更線を除く)は、経度緯度を用いて一意的に位置を表現することが可能です。ここで、経度緯度(二次元多様体上の座標系)を何か別のものに代えてみます。ただし、距離の単位は変えないこととします。
 
すると、二次元図形上の道路の位置は、何か異なる座標値に変わってしまいますが、道路近傍の位置は、道路の距離程+法バンドルで相変わらず一意的に表現可能です。距離の単位が変わっていないからですね。
 
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地表上の位置は、経度緯度の単位を変更するような大がかりなことをしなくても、プレート運動のせいで少しずつ変わっていきます。GPS 測量が実用化したおかげで、今では(日本付近は)毎年 5cm 程度の変動があることが分かっています。20年経てば1mですから馬鹿になりません。一方、道路とその近傍は、直近で地震が起きて地表地震断層が現れたりしない限りは、局所的な位置に変化は起きません。従って、道路近傍の位置を道路の距離程+法バンドルで表現している限り、時間変化は無視できますし、グローバルな座標系が変わっても気にすることはないということになります。2000年以前(世界測地系導入以前)から存在している道路の場合、20世紀に設けた距離標を使って、今でも一意的に道路近傍の位置を指定できる訳です。
 
道路近傍の地物は、道路に紐付けて管理します。法体系がそうなっているからですが、この法体系は、多様体(と法バンドル)の考え方を使うと、非常に合理的であったことが分かりました。
 
数学的には何一つ目新しい話はありませんが、測量、法令、実務を結びつけることができた点だけは目新しいと思います。線型位置参照というキーワードが、こういうことを示唆していたわけでした。