玄天黄地

学生時代、箸にも棒にも掛からなかったアホの子が、やっと普通のアホになれるか?

ベルト・プリミティブ(再)

  金曜日の記事を読み返したら長い上にちょっと冗長な印象があるので、要点を冒頭にまとめることとしました。

 

【前提】

・道路網は、もともと一次元のグラフ構造として表現する場合が多い。

・これは、一次元複体と考えることもできる。一次元複体は、一次元位相多様体(屈曲点を除いて微分可能な、連続な多様体)と考えることもできる。

・電脳空間で実装される場合には、離散化されているために、線図形は折れ線で近似されている。

・ここまでの条件は、道路をネットワークとしてモデル化する際に維持された数学的構造である。

 

【新たな仮定】

・モデルとしては(電脳空間内で実装する前の段階としては)、一次元複体としての構造に加えて、一次元可微分多様体の構造も持っているものとする。この仮定は自然な仮定である。

・立体交差の部分がちょっと面倒だが、基本的には、この一次元可微分多様体は、二次元多様体(地表面とか、重力の等ポテンシャル面とか)に埋め込まれているものとする。

 

【新たな仮定の根拠】 

・この「一次元可微分多様体の構造」は、自動車の軌跡が微分可能な滑らかな線を描くことから、自然に導入できる。

 

【新たな仮定から直ちに導かれることがら】 

 ・一次元可微分多様体の各点で、二次元多様体の接空間(接平面)を考えることができる。

・この接空間は、当然、基底となるベクトルが二本ある。

・うち一本は、一次元可微分多様体の接ベクトル(つまり、道路の進行方向)を採用するのが自然である。

・もう一本は、接ベクトルと直交するベクトルを採用するのが自然である。この、直交するベクトルを(多様体で言うところの)ベクトルバンドルと見たものが、法バンドルである。法バンドルの正方向は、便宜的に進行方向左向きに取る。

 

【ベルト・プリミティブ】

・一次元可微分多様体でモデル化した道路骨格に対し、有限の長さの法バンドル群を考えると、その範囲で得られる図形として車線を表現することができる。

(言い換えると、道路骨格×法バンドルの全空間に適当な切断を設けて、その切断を車線限界ーsidelineーとみることにする)

・法バンドル群の長さは実際の道路幅に合わせることとし、場所によって可変とできる。道路の進行方向は、もとの一次元可微分多様体の向きと合わせる。

 

・ベルト・プリミティブ内の任意の点は、その点を通る法バンドルに沿って、元の一次元可微分多様体に射影することができる(ベクトルバンドルの定義そのまま)。この射影は、ベルト・プリミティブから道路網(一次元可微分多様体)への連続な写像である。

・この射影を用いて、ベルト・プリミティブにおける道路のネットワーク構造を維持する。

 

【3/5 の記事には明記しなかった、残る課題】

・道路網(一次元複体もしくは一次元可微分多様体)の埋め込み先である二次元多様体は、単連結ではない(でないと立体交差が作れない)。

・地表面の定義も面倒だけど、重力の等ポテンシャル面を使うのも無理(カーブでは路面がバンクしているため)。

・準拠楕円体面とかジオイド面とかに投影して考えることにすると、立体交差を表現するのが面倒。

・実際には、実空間を、【準拠楕円体面+法ベクトルバンドル(楕円体高)】または【ジオイド面+法ベクトルバンドル(標高、鉛直線方向)】のいずれかで規定して、全空間の適当な切断として地表面を記述するべきだが、ベルトモデルの話よりもハッキリ面倒になるので、今日の所は深入りしたくない。