玄天黄地

学生時代、箸にも棒にも掛からなかったアホの子が、やっと普通のアホになれるか?

借り暮らしのアリエッティ(ネタバレあり)

 ちょっとがっかり。
 ジブリの映画は、詰め込みすぎの場合と薄い場合がある。千と千尋の神隠しもののけ姫ハウルの動く城は詰め込みすぎ(解決されないままで終わる伏線が多い)。ゲド戦記は薄い。原作があると薄くなるらしい。今回も薄かった。
 借り暮らしの小人たちが、人間に見つかって逃亡する。話の筋は(縮めて言えば)それだけである。平成狸合戦「ぽんぽこ」よりも話の筋は単純である。しかも、人間以外は滅び行くという話の大筋が同じ。絵はとても美しいのだけど、見終わった後に何も余韻が残らなかった。まあしゃーないか。


 ところで、人間の 1/16 位のサイズなので、体重は 1/16×16×16 = 1/4,096。それに対して筋力は 1/16×16 = 1/256 (断面積に比例)なので、あの大きさの角砂糖でも簡単に持てると思うのだけど、眼球の直径も 1/16 だから視神経の分解能も 1/16 だし、眼球に入る光の量は 1/256 なので夜目が利かないのではないかと心配。まあ、細胞のサイズが人間と同じだと思うのが無理なのであって(でなければ、脳細胞の数も 1/4,096 になってしまい、とてもあれだけの知性は出てこない)。網膜の細胞も小さければ分解能が大きくなり、感度が上がれば夜目も利くのだろうけどな。
 一方、薬罐からお茶を注ぐ時に、明らかに表面張力が大きい描写になっている。それはそうだろうけど、だとすると 1/16 の太さの血管をどうやって血液はサラサラ流れるのだろうか。それとも借り暮らしたちは粘性の異なる液体を血液として持っているのかな。人間と似た代謝でなければ、そもそも借り暮らしという生活形態は成立しないと思うのだけど。
 おそらく、表皮や脳細胞、視神経は小さいサイズの細胞なのだろう。表皮が人間並みだと肌のきめが荒くなるだけではなく、細菌の侵入が人間よりも相対的に厳しくなる。一方、消化器官系(特に内壁)は人間並の細胞サイズでないと栄養素の吸収が難しいだろう。

 しかし。こんなことを考えてるから、がっかりするんやでー。